1999年に設立されたカーボンクレジットの国際的な取引環境の整備を目指すNPO法人、IETA日本代表の森嶋氏へのインタビュー記事
長年勤務した化学会社を65才で退職しました。その後、知人の誘いで2022年からIETAの日本代表を務めています。IETAは、1999年設立のカーボンクレジットの国際的な取引環境の整備を目指すNPO法人で、その理念に共鳴しました。
IETAの活動は、パリ協定に6条が採択されたことに寄与したと聞いています。以降、UNFCCCの主催する6条に関する会合には、民間を代表する団体の一つとして常に参加させて頂き、議論に参加しています。また、各国政府関係者を招いての会議の開催、提言の発表、各種パブリックコメントへの対応等を通じて、民間の意見が国連及び各国の制度に反映されるように努めています。
2050年にネットゼロを達成する上では、パリ協定6条が機能し、カーボンクレジットの国際間の取引が活発になることが大切な要素の一つです。しかしながら、現在国際的なカーボンクレジットの取引は限られており、多くの国では制度的な準備も整っていません。IETAはその認知度を高め、民間の立場から支援を行う事で、その実現に寄与しようと考えています。
企業がGHG削減プランを作成する上で、自助努力を超えた削減を行うためにはカーボンクレジットの調達が必要になります。国際的にクレジットの調達が可能になるよう環境づくりをし、企業のカーボンクレジットへの理解を助けることで、調達能力向上を支えていきます。また、民間の意見を集約し、それが制度に反映されるように努めています。
IETAは、分野や地域毎に担当者を定めて、国連のみならず各国でのカーボンクレジット関連制度の進捗の把握や議論への参画に努めています。会員はその情報に随時触れることができますし、IETAを通じて、またはIETAと共に議論に参加することもできます。会員の方はカーボンクレジットに関わる企業ばかりですので、そのネットワークはIETAのみならず会員にとっても貴重な財産です。
IETAはネットゼロのための手段の一つとして、カーボンクレジットの国際的取引の健全な発展が必要と考えており、その理念に沿って活動しています。また、IETAはカーボンクレジットのバリューチェーン全体を代表していますので、特定の業種の利益を代表することはありません。
IETAが特定の領域の投資を推奨することはありません。IETAはあくまでもカーボンクレジットの国際的な取引市場の健全な発展を目指しており、その結果として市場が活性化し、効率的な投資が活発化することになると思います。その中には、例えば、契約、保険など投資を行う上で未整備の分野が少なからずあり、それらについても、会員の意見を聞きながら取り組んでいます。
IETAは、設立当初よりカーボンクレジットの国際的な取引の必要性を訴えてきました。パリ協定に6条が採択されることに多少なりと貢献できたと自負しています。その過程とそれ以降の6条に関わる中で培った国際機関、各国機関、各種民間団体との関係がIETAの柱になっています。
COP29でパリ協定6条の実施についての合意が細部を含めて成立したとしても、それを実務に落とすための仕組みや規則を作り、それを世界的に拡げ、またカーボンクレジットの品質への信頼が担保され、市場の標準化が進むにはまだまだ時間がかかると思います。それらをひとつずつ克服していく必要があります。
GHGを削減することが第一優先であることは言うまでもありません。ただ、それを世界的により効率的に実施し、削減の確度を高めるにはカーボンクレジットの国際的な利用も必要です。それに寄与したいと考えています。
IETAは、市場メカニズムを通じた炭素排出削減における国際協力を可能にするパリ協定第6条の理解と実施の促進に貢献してきた。 日本は、カーボン市場の主要な推進国として、またアジア太平洋地域のリーダーとして、IETAと積極的に協力し、第6条実施の機会を探ってきた。 この協力関係は、カーボン市場を活用して野心的な気候変動目標とネットゼロ目標を達成するという日本の戦略にとって特に重要である。 IETAの専門知識は、こうしたメカニズムの透明性、効率性、環境的堅牢性を確保するのに役立ち、日本のような国々が統合性の高い炭素取引システムに参加することを可能にしている。