なぜイスラエルはスタートアップ大国か【Part 1 】

イスラエルの人口は950万人程度、面積も日本の四国程度であるが、日本の約3倍の数のユニコーンスタートアップが存在する。このような状況を生み出す背景について3回にわたって考察する。

基本情報

【イスラエル基本情報】

人口:約950万人

面積:約22,145平方キロメートル

公用語:ヘブライ語

通貨:イスラエル・ニューシェケル (ILS)

独立:1948年5月14日、イスラエル独立宣言

時差:UTC+2(夏時間はUTC+3)

主要産業:ハイテク産業、観光、農業、ダイヤモンド加工

GDP:約4,000億ドル(2022年推定)

一人当たりGDP:約43,000ドル(2022年推定)

民族構成:ユダヤ人(約74%)、アラブ人(約21%)、その他(約5%)

ユニコーンスタートアップ数:27社(2024年9月時点)

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 イスラエルは主要産業の一つとしてハイテク産業があり、サイバーセキュリティ、アグリテック、AI等、多くのイノベーションを生み出してきた。国民1,600人に一人が起業家であり、人口割合で見ると最も多くのユニコーンスタートアップを生みだしている。なぜか?

私は、2018年から2019年にイスラエルへ駐在し様々なイスラエルスタートアップやVC、大学等と連携し、イスラエルと欧米のイノベーションについて調査を行った。また、より深くイスラエルについての学びが欲しかったため、イスラエル人と同居して共同生活を行いイスラエル人の私生活を間近に観察する機会を得た。

イスラエルがイノベーションで成功する要因として、軍事制度、政府支援、ユダヤ人ネットワーク等が多くあげられるが、特に教育(家庭・学校)において日本と大きく異なる側面を目の当たりにし、衝撃を受けた。

イスラエル内の大学教育

 イスラエルの国立大学では、ヘブライ大学、テルアビブ大学、ワイツマン科学研究所、テクニオン-イスラエル工科大学を中心とした高等教育機関が存在する。 私立大学では、Reichman Universityの存在もある。

各大学様々な特徴があるが、テルアビブ大学はイスラエルの大学内で最もユニコーンを輩出している大学である。私はReichman Universityで授業を受けた経験があるが、日本では考えられないほど多くの質問や意見が生徒から出ていた。それら全てがユニークで素晴らしいものという訳ではなく、日本人からすると調べればわかるじゃないかというようなものも多いが、彼らはお構いなしに図々しく質問する。私が隣にいた学生に、なぜ調べずに聞くのかと尋ねると、笑いながら「私の目の前にいるのは大学の教授で、調べることはいつでもできる。目の前に専門家がいるのに聞かずに調べるなんて、生産性が悪いじゃない。それに、調べるよりももっといい情報を得られるかもしれない。」

たしかにおっしゃる通りだが、この図々しさは日本人には珍しいマインドであると強く痛感したのを覚えている。

また、素晴らしいことに教授も徹底的にその質問に付き合う。授業が進まなくなるほど盛り上がってしまうことも多々あり、質問タイムを強制終了することもあるが、これがイスラエルの学校教育の日常である。米国と比較しても、イスラエルはこのような時間が2倍から3倍多いと感じた。

話すことが好きなイスラエル人ということは前提にあるが、この図々しさはどのように身に着くのか?日本では、的外れな質問や、すでに教授が説明したようなことを質問すると冷めた雰囲気となる。 そのため、その雰囲気を察し、質問するのを辞めてしまう。いつも質問をする生徒は決まっており、質問が上手にできる生徒に限られる。この、雰囲気を察する、空気を読むという文化がある日本と比べ、イスラエルは正反対である。学校教育のスタイルが大きく異なるということは、家庭教育も大きく異なるのではとより興味を持ち、家庭教育においてもイスラエルで調査を行った。

イスラエルの家庭教育

 私はイスラエル人と同居しており、その同居人がシニアパーソンだったため、その同居人の子供や孫、友人等に会う機会が多くあり、家庭教育を目の当たりにすることができた。結果、家庭教育においても日本とは大きく異なることに気が付いた。

Part1ではイスラエルの教育について執筆しました。 イスラエルに限らず、外国にあって日本には珍しいことを中心に執筆しようと思います。